きょうは、もりの村のひろばに、いいにおいがただよっています。
「ぐぅ〜〜〜……」
おなかをならしたのは、クマのジェイソンくん。
ひろばには、ラテネコのマテオさんのハンバーガーワゴンがとまっていて、ながいれつができていました。

「わあ〜、いいにおい!ぼくもたべたーい!」
「・・・あ、でもおさいふ、もってきてないや」
ジェイソンくんがガッカリしていると、マテオさんがちょっとあわてたようすででてきました。
「ジェイソンくん、たすけてくれないかい?ハンバーガーのざいりょうがもうすぐなくなりそうなんだ。かわりに、すこしだけおみせばんをしてくれるかな?」
「えっ、ぼくが!?」

ジェイソンくんはびっくりしましたが、すぐに「うん!やってみる!」といいました。
マテオさんは、ぼうしをジェイソンくんにつけてからいいました。
「おきゃくさんには、“ちょっとまっててね”っていえばいいからね。すぐもどってくるよ!」
そういってマテオさんはいそいで出かけていきました。
ジェイソンくんはドキドキしながら、カウンターのうしろにたちました。
そこへ、ペルシャネコのライアンくんがやってきました。
「こんにちは!チーズバーガーください!」
「えーっと……いま、ざいりょうをかいにいってるんだ。ちょっとまっててね!」
「はーい!」
つぎに、ヒツジのエマちゃんがやってきて、「フライドポテト、ある?」とききました。
「ポテトは……えーと……たぶん、ない!ちょっとまっててね!」

ジェイソンくんは、おおきなこえでがんばってこたえます。
おきゃくさんがならぶなか、ショコラウサギのクレムちゃんがやってきました。
「ジェイソンくん、がんばってるね」
「うん!ちょっとだけドキドキだけど、たのしいよ!」
そこへ、マテオさんがかえってきました。
「おみせばん、ありがとう!おかげでざいりょうもばっちりだよ」
「えへへ、ちゃんと“ちょっとまっててね”っていったよ!」
「それはすばらしいおみせばんだ!」
マテオさんは、ジェイソンくんに“スペシャルハンバーガー”をつくってくれました。

「きょうのは、がんばったごほうび!」
ジェイソンくんは、うれしそうにハンバーガーをほおばりながらいいました。
「おてつだいって、たのしくて、おいしいね!」
ひろばには、あったかいにおいとやさしいきもちが、ふわっとひろがっていきました。
おしまい。