ジョンは、くつをみがくのが だいすきな ダルメシアンのおにいさん。
まいにち、あさごはんのまえに「きょうもよろしく」とくつに声をかけて、ていねいに ぴかぴかにします。
キャラメルイヌのメラニーは、おさんぽがだいすきなおねえさん。
「さあ、あたらしい みちを さがしにいきましょう!」と、にこにこ あるきだします。
あるはれた日、ジョンは みがきたての くつをはいて、メラニーといっしょにさんぽにでかけました。
「ジョンさん、きょうのくつも ぴかぴかね!」
「ありがとう、メラニーさん。きみのブーツも、よくにあっているよ。」
ふたりがはなばたけのよこをあるいていると、すこし先で おかあさんがこまった顔をしていました。
「どうかしましたか?」と、メラニーがたずねると、
「うちの子が、さんぽのとちゅうではぐれてしまって……小さなかごを持ってたの。」と、おかあさん。
「それなら、いっしょに さがしましょう!」と、メラニーとジョンは声をそろえて言いました。
子どもは、きっと どんぐりの木のほうへ行ったのではと聞いて、ふたりは小道をそれて、森のなかへ。
あしもとはぬかるみ、木の根っこや、しげみをかきわけながら進みます。
ジョンのぴかぴかのくつは、あっというまにどろだらけ。
メラニーのブーツも、はねた水でびしょぬれに。
でもふたりは、くつのことなんて気にせず、声をかけながら さがしつづけました。
「いたよ!」
しげみのむこうから、メラニーの声。
小さな子が、かごをぎゅっとにぎって、しょんぼり座っていました。
「たいへんだったね。でも、もうだいじょうぶ。」
ジョンがやさしく声をかけると、子どもはほっとして、にっこり。
おかあさんのところへむかう帰り道、ふたりのくつはどろどろ。でも、顔はにこにこ。
「きょうのさんぽは、すこしぼうけんだったね。」
「そうだね。くつはよごれたけど、心はぴかぴかだ。」
ジョンは、あとでまた くつをみがくつもりです。
でも、すこしだけ よごれたそのあとも、たいせつな思い出として そっとのこしておこうと思いました。
おしまい。