ある日、シルクネコのおねえさん・ルルの部屋に、なかよしのおねえさんたちがあつまってきました。
「今日はルルのお部屋を見せてってお願いしたの。かわいいって有名だから!」
マシュマロネズミのおねえさん・ステファニーがうれしそうに言いました。
「ほんとだ、ドレッサーもカーテンも、ぜんぶすてき!」
カメラを肩にかけたチャコールネコのおねえさん・フェリシアも、きょろきょろと部屋を見まわします。
ルルは、ドレッサーの前でにっこり。
「せっかくだし、“メイクごっこ”しない? やさしい色で、気分がふわっと明るくなるように」
「わあ、楽しそう!」
ショコラウサギのおねえさん・ステラが、うれしそうに手をたたきました。
まずはステファニーの番。ルルはやさしく声をかけながら、小さな筆でチークをふんわり。
「家具みたいに、やさしい木のぬくもりをイメージしてみたの」
ステファニーは、ほほを赤らめてにっこり。
つぎはフェリシア。ルルはすこし濃いめのリップをぬりながら、言いました。
「フェリシアは外が似合うから、風にそよぐ花の色を選んだの」
「へえ、メイクって、そんなふうに考えるんだ」
フェリシアは、少し照れくさそうに笑いました。
さいごは、ステラの番。
「わたし、メイクってちょっとにがてで……」と、ステラは小さな声で言いました。
ルルは、にこっとほほえんで、そっと言いました。
「だいじょうぶ。これは“じぶんをすきになるごっこ”だから、むりにきれいになる必要はないのよ」
「うん……じゃあ、ちょっとだけ、お願い」
ステラのほほに、ルルがやわらかなピンクのチークをのせると、まるで春の花のようにパッと明るくなりました。
「わあ……なんだか、わたし、わらいたくなっちゃう」
「それがいちばん、すてきなメイクよ」
ルルがやさしく答えると、部屋の中にやさしい空気がふんわりとひろがりました。
しばらくして、みんなでミントティーをのみながら、のんびりおしゃべり。
「きれいになるって、うれしいね」
「でもね、“じぶんをたいせつにする”ってことが、いちばんだいじなんだよ」
ルルのことばに、みんながうなずきました。
ルルの部屋には、おひさまみたいなやさしさが、ずっとふんわり、ただよっていました。
おしまい。