「エマちゃんのゆっくりマーチ」ーのんびりいちばんー

black wooden bench on green grass シルバニアファミリー
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ヒツジのエマちゃんは、のんびりやさん。ある日、こうえんの入り口にあつまったおともだちのなかで、いちばんうしろを歩いていました。

「きょうはこうえんをぐるっとおさんぽして、たからさがしごっこしよう!」と、ラテネコのメイベルちゃんがいいます。

みんな「うん!」と元気にスタート。ピョンピョンはねるアンブローズくん、ぐんぐんすすむクレムちゃん。

でも、エマちゃんは、小さな花や、落ちてる葉っぱを見ながら、ぽてぽてぽて…。

そのとき、ゾウのヒルトンくんがしょんぼりすわりこんでいました。

「どうしたの?」

「ぼく、あしがつかれちゃったの……みんなはやくて、ついていけないよ」

エマちゃんは、そっとすわって、にこっとわらいました。

「わたし、ここでひとやすみしようと思ってたの。一緒にすわろう?」

ヒルトンくんは、ちょっぴりなみだめでしたが、「うん」とうなずきました。

ふたりは、にこにこしながら、ゆっくり歩きはじめました。

すると、ベンチのしたにキラッとひかるビー玉をみつけました。

「わあ、これってたからものかも!」

エマちゃんがそっとビー玉をひろうと、メイベルちゃんがもどってきてびっくり。

「すごい!わたし、ぜんぜんきづかなかった!」

「うれしいね。こんなところにあったなんて」

そのあと、クマのジェイソンくんがすべってころんでしまいました。

「いたたた……」

ヒルトンくんがかけよろうとすると、エマちゃんがそばによりました。

「たいへん。いっしょにいこう」

ふたりはジェイソンくんをそっとおこして、ちょこんとすわらせました。

「ありがとう……ふたりがいてくれてよかった」とジェイソンくん。

さいごにみんながベンチにあつまって、おひるの時間。

エマちゃんのバスケットには、リンゴとシュークリームがちゃーんと入っていて、みんなでわけっこ。

「エマちゃんって、あわてないんだね」と、マイロくん。

「うん。なんだか、そばにいるとほっとする」

エマちゃんは、ちょっとはにかんでにっこり。

「のんびりしてると、いいことが見つかることもあるのよ」

そのひの空には、ふんわりわらっているような雲が、やさしくうかんでいました。

おしまい。

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